初めて、この谷にやってきた年。。。
雪降り積もり、今までに経験したことのない、ヒマラヤでの初めての冬越え。。。
彼女の家には、天然温泉がパイプで源泉から引いてあって。。。
家の床にそれを通して、暖かいオンドルのお部屋で小さなカフェを営んでいました。
私が、まだ糸も紡げなくて。。。
毎日、彼女の暖かいお店で練習をしていました。。。
彼女は、厳しくて、懐が座っていて、プライドが高くて、曲がったことが大嫌いで。。。
いつもお店の椅子に、しゃんと座って、編み物を編みながら。。。
通り過ぎていく、旅人たちを見てきたようだ。。。
その姿は、私の、祖母に似ていた。。。
7年間の間には、いろんな出来事が私たちの間に起こった。
彼女は、本当に私の事を娘のようにかわいがってくれたから、私がもっとひっそりとした村に移った時には、今までこんなに良くしてあげたのに。。。と本当に怒ったり。
プライベートな事まで、いろいろ言われたけれど、
インド流の清く正しく美しく。を教えてくれていたんだと。今ならわかります。
彼らのルールを破った際には、1年は、口もきいてもらえなかったけれど。。。
そして、自分で紡いで織ったジャケットを完成させて、着ていった日には、本当に嬉しそうに、
””よくやった”” って褒めてくれました。
この谷の人達の気質は、感情は、ため込まない。
もちろん、ケンカもするから、口を利かなくなる時期もあるのだけど。。。
感情もため込まないから、後に引かず、謝罪と言う文化もなく、いつの間にか水に流れて笑いあっている。。。
彼女の、亡くなった旦那さんはお金を稼ぐのが上手ではなかったらしい。
子どもたちもいるし、若い時から、たくさん働いたのだそうだ。
そんな気丈な彼女です。
模様が編めないので、シンプルなプレーン靴下を編んでいただいています。
勤勉な性格で、納得がいかなかったら、何も言わなくても、ほどいてやり直す。
彼女は、そうやって、一歩一歩、きちんと生きてきたのだと思う。
靴下を検品していて思うのだけど、彼女の靴下は、いつも同じように、一つ一つの目が重なってできています。
ヒマラヤの誇り高き、知恵と忍耐を携えた
彼女の生き方、人柄そのもの。
貴方に合わなければ、私の人生は、今のようになっていなかったかもしれません。。。
私のインドのおばあちゃん。
貴方にあえて、本当に良かった。
Photo : Aya Chiba
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