日本からこちらまでの移動はなかなか過酷。
5月の日本から、乗換のタイではあの蒸しっとした空気を浴びて、インドデリーは40度。
そこから、夜行バスでくねくねした道を山まで上がってきた。
実は、今回、日本出発前から事務仕事が色々終わらず、移動中、山に到着しても作業を続けていた。
そして、山に戻れば働いてくれている方々のところへ行って、お給料を払ったり、自分の小屋を掃除したり、生活を整える作業など、とにかく、やることは山積みだった。
日本を出発する前から、まともな休みは全然とっておらず、睡眠時間も極端に短く、それは、移動中も、ヒマラヤについてからも続いた。
そして、39度以上の熱が3日間続き、一週間おかゆだけ食べていました。

ここはインド。すべてが予定通りにはいかなかった。
カーディガンを編んでくれていた人に、日本に行く前に毛糸をまとめて渡して置いたら、お願いしていたサイズよりはるかに小さく、子供向きのサイズ。さらに、あんなに一生懸命ボタンホールの編み方をお教えしていたのに、ボタンホールなし。で出来上がっている。
サイズを書いた表を見てもらって確認しても、いきなり大声で怒り出す。そして、家族も出てきて怒り出す。
さらには、代金だけは3枚分きちんと払えと。家族にも囲まれ怒鳴られる。
毛糸になるまで手間も人件費もたっぷりかけて、やっと出来上がった毛糸を、サイズも違う、ボタンホールもないカーディガンに製作され、3枚分お金を請求され、家に着いた時から怒鳴り口調。人の説明は一切聞かない。

間違えてもやり直してくれる人にはいくらでも付き合うけれど、まったく聞かず、お金だけ請求する人もやっぱりいて。
Bella Terraは、工房にお仕事を出しているわけではなく、賃金労働が初めての普通の山岳民族の方との仕事にこだわって製作しているから、日本人の感覚は全く通じない。
結局、古株のメンバーは、私たちの仕事は、たくさん人を雇って、たくさん作るってことはできないのよ。
今まで通り、たくさんはできないけど、丁寧にゆっくりゆっくり作っていこう。と言いました。

肉体的にも、精神的にも、ギリギリのところで踏ん張りながら、早朝から夜まで、何とか仕事をこなしていた。
さらには、停電ばっかりで、最近も5日くらい電気はこなかった。
これを書いている、今。電気はやはりない。

こちらへ来て、とにかく、作業がたくさんあるから、ひとつづつ、ひとつづつ、こなしていた。
こうして、冒頭の39度超えの高熱に。

なんでこんなこと書くのかって。。。
山も海もいいことばかりじゃないから。いつでも大きな危険は身近にある。
自然の中に生きるって、たくさん気をつけなきゃいけないことや、標高や天気の変化に真剣に向き合わないと、油断したらいけないんだ。っていつも思っていなくてはいけなかった。今、思う。

私は、日本からバタバタと、肉体的にも精神的にも詰め込みに詰め込んで、やってきたから。
この村には、大自然の氣というのかな。ここの音程みたいなのがあって。
離れていてから帰ってくると、そのチューニング合わせみたいなのが、強制的にいつも起こって。
身体も精神も、よくわからないけど、たぶん魂も。
やっぱり今回も、厄落としはありました。
この土地に調和するつもりで、明け渡さないと、はじき返されてしまうんだろうな。
と、この土地の神様のお話なんかを聞いていて思います。

ここではいっぱい作って、いっぱいビジネスして、お金も設けようなんて思っちゃうと、いろいろうまくいかなくなる場所のようです。
とにかく、丁寧に、ゆっくりと、時間をかけてやっていく。っていうのが、この村に長くいるための、チューニングのとり方なのかなって思います。

寝こむ前は、日本に戻ってそんな効率の悪い自分の人生にも、活動の進め方にも、不安や恐れもあったんだけど。
私には、そういう不安とかがあまりなく、いつもふわふわ、自由に生きてると思っている人もいるみたいですが。
ぜんぜん、そんなことなくて。

ただ、一生懸命、一生懸命、できるだけ一つ一つと真面目に向き合っていきたいって。思っています。

熱が下がって。
朝5時に外に出て。
ずっと、朝日が昇るまでの色の移り変わりを見ていたら。

なんか、どうでもよくなった。
ただただ、ここにいれることが嬉しくて。

こんなきれいな星に生きているんだ。って。
ただそれを、素直に味わえて、それを感じられるだけで。
もうそれ以上。 何が必要だろうって。

いろんなこと。
いろんなこと。

こうなったらいいなを。。。
ああなったらいいなを。。。
思ってみればきりはないけれど。

朝の景色を眺めていたら、どうでもよくなってきて。
まあ、この人生も上々じゃ。と思い始めた。
何度も。
何度も、ここに来るとシンプルに、
地球は何でも、なんでも、いつでもくださるな~~~
と思いだす。

小さな小屋で。
畑も小さくて。
食事も質素で。
電気も全然来ない。
でも、そんな日々の些細なことを、喜び合える人たちが、私を愛してくれていて。

この美しい地球を愛おしいね。
と、慈しんで日々を過ごすために、この星へやってきたんだ。
物質的な富や、人間関係、すべてがシンプルに。
ただ、今在ることへの感謝と幸福。

村のおじいちゃんや、おばあちゃんと一緒にいて、それが実際はどういうことか分かってきた。

見た目や、聞こえが派手なことをする必要なんかない。
努力。継続。愚直。
早くたくさん作ろうとすると、化学製品とか、柵とか、飼料とか、予防接種とか必要になってくるから。

ゆっくり丁寧に、土と向き合い。風に聞き、太陽に仰て、水と流れる。

つらい時、厳しい時、迷いのある時。
そんな時ほど。私の大好きな老人たちは何も言わず、ただ、地道に、終わらないだろうっていう作業に向き合い続ける。

ここに来ると。
そうやって生きてきた、おじいちゃん、おばあちゃんに囲まれて。
言葉じゃなくて、一緒に手を動かして、手を動かして、そうやって伝わってくる意志が、私の中にも流れているのを感じるんだ。

2022年6月7日。。。
羊の毛を刈り取ったら洗う前に、まず、選別と掃除をしました。
おしりの周りや、お腹の下など硬い部分を避け、毛についたトゲトゲした草などを、丁寧に手作業で外します。
この日は、11:20-16:50(休憩30分) 5時間の作業を、大人2人 (PabnaとUmi)がして、1.5KGの掃除が終わりました。
今季は、40KGほど洗う予定ですから、途方もなく大変な作業です。

柵の中で羊を飼う利点は、何より、汚れがつかない事でしょう。
羊の行動できる範囲に、トゲトゲした毛にくっつくような植物を生やさず、下草を生やしてあげれば、このように膨大な時間をかけて、羊毛を掃除してあげる必要はありません。

でも、私は、遊牧の羊毛にこだわっているので、この作業をします。

今までは、掃除と分別作業は一人で行っていました。
今年から、Pabnaさんが手伝ってくれることになりました。お金をもらえるからってやってくれる事ではなくて、何かを理解してくれたんだと思います。
日本やヨーロッパの方へ向けての、最高品質のオーガニック衣料品を民族の技で目指す。
ふわふわで、柔らかくて、着心地が軽く、水を弾く。そのような羊毛製品を目指すには、何よりも大事だと思うのが、丁寧に選別し、丁寧に洗うこと。
羊毛をフェルト化させることなく、油の抜き加減も慎重に、素材の良さを引き出すような、下処理が、そのまま、出来上がりの風合いに結びついていると思うのです。

そして、羊飼いのおばあちゃんは、いつも見ていてくれて、黙って手伝ってくれるのです。

8年目の今年。
8年向き合ったからこそ、この地道な作業が、いかに仕上がりに結びつくか、体験を通して気づきましたので、下処理にたくさんの時間をかけ、丁寧に向き合おうと思います。

時々、見えなくなるけれど。感じられなくなるけれど。
先人から受け継いでる、その意志や想いや温もりがあったから、こうして今も続けられているのだと感謝しています。

今月から、ヒマラヤからのオンラインの糸紡ぎのクラスも始まります。

やっぱり山の暮らしが好きだから。
標高2700Mの暮らし それはそれは、簡単には言葉にできない世界です。

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これから夏の行楽シーズン。
いつも山の楽しさや、大自然大好き!ばかり書いているので、私の不注意の体験を通して。。。(笑)
注意点と対策などをまとめておきます。

まずは、標高が高いところに、お菓子の袋など持っていくと、パンパンに膨張するのを思い出してください。
それとお同じことが、内臓にも、脳みそにも起こっています。

・標高は高くなればなるほど、紫外線が強くなっていく。歩いていたり日光の当たるとこでは、熱く感じるのですが、肌の露出は避けて、長袖のシャツなど着て、帽子を被るなどすると、負担は低くなるのでしょう。
標高が高くなると体感温度とは変わって、気温は低いです。日なたと、日陰の気温差も激しいので、私は、長袖のコットンのシャツの着用をおすすめしています。

・標高の高いところでは、消化機能が極端に低下します。
富士山の山小屋で働いていた時の経験や、4000m超え1の山歩きをした経験より。人によりますが2500mくらいからは、血中の酸素の量が減って、体のさまざまな器官が省エネモードになるようです。
人体は、想像以上に消化にエネルギーを使っているよう。低い山の場合とは違うのですが、高山では、栄養価は低く見えても、消化の良いものを食べた方が、体が動くし、高山病にもなりにくい傾向に私自身はあります。
3500m超えたくらいから、携行食として有名なナッツ類なんかは食べたくなくなってくる。 

富士山では、山小屋の80歳の主人は、日本茶を飲みなさい!と皆さんにとにかくふるまっていたし。
南アルプスの山小屋では、インドのスパイスチャイを出していた。
カフェイン、スパイスなどは、血液の循環、利尿作用もあり、どうやら、高山病に良いらしい。
トイレにはいきたくなるけれど、どんどん飲んで、代謝良くするのは大切のよう。

・脳みそはエネルギーを大量に消費しているよう。心配事やストレスが大きいと、脳がたくさん酸素を消費してしまい、高山病になりやすくなる。
逆に瞑想をすると酸素の消費量が少なるよう。本当に難しいけれど、思考を止めることって、健康にもとってもいいようです。

・とにかく、睡眠不足で山登りはダメ。
私が身をもって、痛感したのはここ。標高高いところに行くときは、酸素が薄くて眠りが浅くなること問題ないが、寝不足は本当に危険。
富士山の山小屋でのバイトの時も、寝不足で何とかスケジュールをこなしてきた登山者の方などは、高山病になる方が多かった。

そして、おすすめが手作りスポーツドリンク(経口補水液ORS)
ひどい熱中症や、高山病になると水も飲めなくなります。
そんな時、これはごくごく飲めるし、体に浸透していく感じがして、夏にも本当におすすめ。

まずは、体に浸透しやすい濃度の基本から
水1リットル
砂糖 大匙 4・1/2
塩  大匙 1/2
これに、お好みでクエン酸やレモン汁を

・・・おいしくアレンジ・・・
500mlの水に対し
はちみつ大匙 1
※アプリコットジャム大匙 1
塩 小匙1/4
お好みでレモン汁 小匙2

山の家からは、病院も薬局もレモン売っている場所も、スポーツドリンクなんてものも、購入できるのは歩いて数キロ先なので。
村で取れる、はちみつ、自家製のアプリコットジャムで酸味も追加してみました。
トレッキングや、海に行くとき、夏場の行楽時に、はちみつ、塩、レモン汁などだけ小さな容器に入れておいて、途中で冷えた炭酸水やお水など調達し混ぜれば、車なしの行楽でも荷物が重くならず、特に脱水症状を起こしやすいい子供たちにもおすすめ。と思います。
もちろんお湯割りもおいしいかったです。

この夏も事故なく、皆様が地球遊び楽しんでいらっしゃいますように~~~
美しい地球に、すべての生命が幸せでありますように。

感謝を込めて

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