⁡森羅万象 命の巡り
花が咲き種が記憶を繋ぐように
雲となり、雨となり、太河を経て海へ流れつく水の旅のように
生き物が生まれ、伝え残し、やがて去っていくように

命の営みと衣食住が同義だったころから
紡がれ織りなされ、未来へ繋いがれていく
⁡⁡

BellaTerraのレッグウォーマーの半分近くの糸を紡いでくださっていた、DOYADEVIさんが秋に亡くなりました。
今年のレッグウォーマーも半分くらいは彼女の作ってくれた糸です。
糸紡ぎ上手い人→忍耐強いひと。カッコつけない人。困難で落ち込まず改善する努力を続けられるひと。愛情深いひと。まじめな人。心の素直な人。無口な人。
ローカルの中でも糸を紡ぐ人と紡がない人がいて、糸紡ぎをしてくれている人はこんな人が多いです。

Doyadeviさんは糸紡ぎも織りも熟練の技を持った方で、Doyadeviさんのお母様が糸紡ぎも織りも名人級で幼いころから技を仕込まれていたようです。
彼女にはGitaさんとBabnaさんという娘さんがいて、その二人もBellaTerraで大活躍の作り手さんで一族みんな働きもです。
GitaさんとBabnaさんのおばあさんが一族の女の人にその技を伝授されていたので、一族の中で紡ぎ、織り、編みを分担し製作を続けています。

今年のレッグウオーマーの検品中は、Gitaさんとよく泣きました。
すてきなお母さんだったね。働き者だったね。すごい人だったね。と。。。
彼女は一時間前までピンピン元気に過ごし、一人になった数十分で誰もさよならは言わず一人で旅に出てしまいました。
ただそれまでの毎日の日常の暮らしの中に彼女はたくさんの贈り物を残していったと思います。
糸や布を残していきました。
野菜の種や果樹を残していきました。
技や仕事を続ける精神の逞しさを残していきました。

Gitaとふたり、今年のレッグウォーマーが最後の彼女の糸だね。
これからは、違うメンバーで作っていく事になるね。と話しながら、来年のための羊毛の仕入れの話をしています。
お母さんやおばあさんが亡くなっても、ちゃんとGitaとBabnaが続けてる。
そして彼らが続けていける環境が継続できるよう、私もその輪の一部で在れることをうれしく思います。
たった一足のレッグウォーマーにも一族の物語があって、それはセーターにも、ショールにも言える事。
私も今のこの時代でもそういう物語のような生活の中に生き、その物語を語り紡いでいけたらと思います。

この一族の大ばあ様の作ったアンティークの布。
40年50年前のヒマラヤを歩いて羊や、その時代の水、火、土、風が織りなされた布。
何枚か受け継いでいるのですが、今まで展示会に展示することができないでいました。
彼女たちの人生や織った技術を想うと、私がこの布の事をお伝えするにはまだ早いと思っていたからです。
1年半かけてこのアンティークの布が作られた時代と同じ方法で、復刻版を師匠と二人で製作しました。
私も10年一つの芸事に本気で生きましたので、そろそろ、アンティークの布を展示してみようと思います。

素朴で質素な何十年も前のヒマラヤの大自然の循環と、そこに生きた人の心が紡ぎ織りなされています。

おすすめの記事