パソコンが壊れたので、長文は投稿しないなんて前回思ったけれど、やっぱり無理で。ヒマラヤの冬は、感じる事が多すぎて、書かずにはいられない。長い文章だけど心を込めて投稿します。

写真は残念ながら、携帯からだと投稿できない。何故かわからないけれど。FBとインスタグラムには投稿できているので、末尾にお知らせを書きます。

こちらはヒマラヤの冬。
天気予報は、摂氏マイナス20~30度。という表記を続けている。
暖房器具もなければ、断熱構造の家でもない。
電線が凍って、停電が増えてきた。
電気が来ていても、電力供給量が不安定なようで、携帯を2時間充電しても10%ほどしか充電できない。
織物を始めたけれど、織り機は外にあるため、マイナス何十度の中で織り機に向かう。
毎年この時期になると、家の軒の機織り機に、糸がかかっているのを見るのだが、今年は、師匠のおじいさんと、私の織り機にしか、今のところ糸がかかっていない。
おじいさんの織り機にかかっている糸は、日本から頂いたオーダーのジャケットの布地。
マイナス気温の屋外で、毎日、織り機に向かうのは想像以上の体力仕事だ。
原始的な機織り機は、現代的に作られたものより、力も使うし、何より原始的な作りの分、より繊細な感覚と技が必要になる。
それは、織物だけでなく、糸つむぎ、薪割り、ここの生活の全てに共通する事だ。
みんなが、身体が痛くなるし、風邪ひくからやらない。と言っていたが、私も、例に漏れず、マイナス気温な中で織りの作業に向き合っていたら、みんなが言っていた、熱が出て、身体が硬直し動かない状態になった。まあ、みんなそうなるわけです。
糸の掛かっていない、空の織り機が増えて、その代わり、年末年始に民泊を楽しむ、都市部の富裕層のインド人観光客がこの村にも来るようになった。
観光客はこの村にやってきて、コーヒーはあるか?チキンが食べたい。等と、地元の人に大きな態度で言い、お店のないこの村では、観光客の飲みたがるコーヒーを隣近所の家に聞いて回る主婦の姿が見えた。
年末年始は、私の家にも地元の人が来て、観光客がこれが食べたいと言っているから、材料を貸してくれ。と地元の人がやってきたり、請求書を書きたいが、アルファベットが書けないから、書いてくれと言ったりした。

私の部屋には、薪ストーブがあるのだけど、煙突の取り付けを頼んだ大工さんが、屋根の張りに煙突を密着させてしまったため、火事の恐れがあるから、薪ストーブに火が入れられないでいる。
その仕事でお金を貰って、後で治しに来ない大工さんには、正直、腹が立つ。
水道は凍りつき、村の人は凍っていない水道を探して、遠くまで歩く。
洗濯機はないから洗濯物は手洗い、食器を洗うのも、何とか溶けている水道を探して行う。
皆さんご存知の通り、インドではトイレットペーパーは使わずに、左手で水を使いおしりを洗う。
ウォームレットとかウォシュレットという機能が当たり前の日本で生まれ育った私には、雪の中歩いてトイレまで行き、そして冷たい水で洗うのは、非常に非常に難儀である。。。
冷えた身体を温めようにも、家の中でもマイナスの室温。
村の人が観光客からお金を貰って、そのお金で気密性の良い家を建てたりを、給湯器を買ったり、少しは現金も稼ぎたいという気持ちもよくわかる。

来週の天気予報はマイナス30度超えが数日。
雪が続いて、とにかく寒くて、こんな中で外で織物をすれば、生きていれば、神奈川県生まれの私が体調を崩すのは、当たり前だ。
でも、1年で1番の厳冬期の越冬も、今回が5.6回目。
ウールの民族衣装を纏い。
私の部屋の薪ストーブは、火災の恐れありで使えないので、村の人の薪ストーブを囲む。
精神的にも身体的にも、健やさを保つことが、本当に難しいこの季節。
それは村の人も一緒。心を、身体を強く保つこと。それが、ヒマラヤの冬を乗切るために1番必要なこと。

そんな雪の日にも羊飼いは、遊牧に出かける。
この村には、二件の羊飼いが居る。
一件は、家族みんなで羊の世話をし、
最近では10代の男の子が、遊牧に出ている。この子は10代半ばから、1人で馬を飼い慣らし、昨年は、夏の長期の遊牧にも1人で数ヶ月も出かけた。
動物の心も、人の心も察するのか、とても美しい、例えるならば、もののけ姫に出てくる、アシタカ。のように、優しく強く家族を思う、素敵な目をした青年に育っている。

そして、もう一件の羊飼いは、息子達は羊飼いをつぐ気はなく、年老いたおばあさんが1人で遊牧を続けている。彼女の旦那さんは2.3か月前に亡くなった。
そして、彼女はこのマイナスの雪の中を、1人、今日も羊を追い続ける。
彼女は切なそうに私に話した。
そろそろ、家業を観光業とかに移行した方がいいのかな?
もう、羊飼いは稼げないし。子供にも引き継ぐ訳にはいかんよな。
もう、時代は変わってしまったのかな?
と。。。
そんな事ない。
この時代だから、続けることが大事なんだと思う。

インドでも一昔前まで、羊毛で有名だった、レー、ラダック、スピティーという地域でも羊飼い達が羊を手放し、街に出稼ぎに出て、原毛の価格が高騰して地元の人がもう原毛を買えなくなっている。と、色んな地域の方からそんな話を聞く。
私のいる村は人口100人。羊は200頭以上。それを話すと、あんたの所はいいね。もう羊は居なくなってしまった。と、話す他の地域の山岳民族にも、度々出会う。
これから先、ますます、世界中で羊毛の価格は上がるだろう。
そして、羊を家畜として狭い檻の中で飼い、物のように扱って、その毛を刈る時に身体をも傷つけてしまうような、工場のような、牧羊主が先進国を中心に益々増えるだろう。
遺伝子組み換えでない作物を、購入することが難しくなったように。
衣料品もファストファッションが流行を作り、羊飼いは時代の置いてけぼりにされてしまうのだろうか?
おじいさんが亡くなったあと、それでも、1人で羊を追い続けるおばあさんが、不安そうに話してきた。
貴方のやっていることは、凄いことだから。あなたの羊毛をこれからも私が買うし、羊の事も貴方のことも、伝えていくから。と言った。
そのために、Web blog も頑張って新調し、ネットショップも勇気をだして作ったんだ。

私は、時代の流れに、彼らが残されればいいなんて思わない。
雪の中の放牧から帰って、暖かい部屋でご飯を食べて、給湯器のお湯で食器や、汚れた服を洗い。ゆっくり眠って、また、次の日も誇りを持って、自分の仕事である羊飼いの仕事に出て欲しい。
そのために少しのお金を、家にかけてもいいと思う。だから、羊飼いや糸を紡ぐ人が、出稼ぎに出たり、ツーリスト業に転向した人と同じように、きちんと生きていけるお金を、稼いで誇りを持って、彼らの愛するその生き方を、全うして欲しいと思う。
この土地と、日本を行き来した7年間は、それは、葛藤に溢れた時間だった。
ここではよそ者で。
日本に帰れば、その消費社会に絶望した。

先程書いた、後継者のいる羊飼いの家も、お母さんが大病を患い、街に手術に行き、最近帰って来たばかり。
正直、パッと見にも、具合が非行に良くないことはわかるくらい。彼女は私より2歳年下で、一緒に羊の遊牧に出かけてたり、一緒に織物をした大切な人。
ここの村で、大した医療も緩和ケア受けず、命を終わらせる人を見てきた。
居てもたってもいられず、日本でいう東京の一等地に当たる場所で、外国人やインドのお金持ちに当たる方を相手にしている、アーユルヴェーダの知り合いのお医者さんに電話で相談した。彼女に電話で問診し、薬を郵便で送って貰えることになった。そして、彼女は継続して、そのアーユルヴェーダのお医者さんの治療を受けることになった。その治療費は私が払うことになっている。お金をそういう事に使うために、ネットショップも頑張って作ったんだし。協力してくださっている方や、購入してくださった方の、大切な時間やお金は、これからもそういう事に使いたい。

私自身が、今年はコロナの影響や、主要メンバーの家に不幸や病気が続き、そのサポートにお金を使ったり、村の人に支払う作業のお金で精一杯で、自分の部屋の煙突を直すところまで、金銭が追いついていないから、余計にわかる。
ここで原始的な暮らしを継続させていくにも、少しのお金は必要なんだ。
そして、少しくらい、先進的な文明の恩恵を受けて、医療を受けたりして、健康を保ってもいいと思う。

現在、私自身の出費は多いし、
借入は大きくなっているけれど、私は、今の自分のこの村でのポジションに満足しているし、絶対に何とか出来ると思っている。何故なら、製作している物のレベルが良くなっているから。

もう、なんの治療も受けれず病に苦しむ人は見たくない。
この村で、未亡人になったり、旦那さんから暴力に苦しんだ女性たちの、悲しい話を聞くだけなんてもう嫌だから。
そして、やってきた観光客に、ここの地のものを楽しむのではなく、インスタントコーヒーも無いのか。なんて言われている姿は見たくない。
私は彼らの現実と、先進国に生まれた現実に、もう十分に苦しんだ。

きっと、私の投稿を長年読んでくれている人は、毎年、冬に大変な思いをして、
悲しい気持ちの投稿をしてきたのを読んだ覚えもあると思う。
この雪の、寒い寒いヒマラヤの村暮らしで、心も身体衰弱していく、このパターンも十分体験した。

今は、少しづつ。少しづつだけどこの現状を超えていける、先進国に生まれた私だからできることが見つかって、それが、形になってきている。
それでも、この投稿にエゴがないかなんて聞かれたら、全くの主観です。としかお答え出来ないものです(笑)

先日、テレビニュースでインドが国を上げて、このヒマラヤの遊牧民とその羊毛工芸品の存続、女性たちの支援を始めるために、総理大臣がこのエリアに視察に来た。というのを見た人が数名身近に居た。
私達のメンバーは、それに大喜びで、、国より先に自主的にそんなプロジェクトを運営しているんだから!と、何人もの人が目をキラキラさせて、私に教えてくれた。

羊飼いたちは、不安なのだ。
時代に取り残されてしまうのではないかと。
そして、私が、彼らを見捨てて、日本で楽しそうな暮らしをすることを選ぶのではないかと。
世間から忘れられてしまったみたいに、私に忘れられてしまうのでは無いかと。。。
それは、私も同じ。
ファンシーな物語を書いたり、楽しさや喜びだけを書き綴っていった方が、いいね!の数は増えるし、人間関係は上手く拡がっていく。
でも、それはリアリティじゃないし、それが、私がここにいる理由でもないみたいに思うから。。。

次に日本へ帰ったあとも、また、VISAが取れて帰って来れるのか?
それが不安な彼らは、デリーの偉い人にまで電話をしたりしてくれている。
でも、緊張しながら、想いを伝える、その様子がなんとも可愛らしく、そして、笑いに溢れる物なのだ。
私は、ここのリアリティ。
葛藤も、苦しみも、喜びも、美しさも。。。それを私なりに、世の中に媚びることなく、表現し続けたい。という、私のわがままを今は続けたい。

このヒマラヤの冬の生活は、世界のトライバルの、精神修行の儀式に似ている。

電気も来ない、極寒の吹雪の中。
晴れの日の太陽は非常に眩しく神々しい。
光を求めれば、苦しみ増すし。

闇の奥に入りすぎると、そこから逃れられなくなる。

闇を嫌悪することなかれ。
光を渇望することなかれ。
春夏秋冬のように、晴れの日や、雪の日のように、それは、やってきては過ぎ去るのだから。
闇を恐れ、光を求めた時、恐怖がやってくる。
闇の中でその奥にある、恐れのない静けさに行き着いた時。
光の中でその奥にある、執着のない静けさに行き着いた時。
光も闇も何も無い。
渇望も嫌悪もない、ただ生きていることへの感謝と安堵を感じることができるのだろう。
この原始的ヒマラヤの越冬は、今年で8度目。
悦も、躁もなく。
鬱も、悲もない。

今日も雪の中で織り機のチェックと、雪かきに向かったら、アシタカのような目をした羊飼いの青年は、雪の深い山道を馬の放牧から帰ってきた。ヤギの毛でできた、民族衣装のコートを着た彼は、若くして、欲という物コントロールする術を知っているように思う。

ヒマラヤの大地と、この自然と共に生きて来た人たちを師に、今年も、越冬しながら自分の製作にも励んでいます。

ツーリスト業に出稼ぎに出ていた方が、正月の繁忙期を終え、村に帰って来た。
彼女は言った。ツーリスト業より、私はショールおりの名人だから、ちゃんとお金が稼げないだろうか?と。。。

病気をしている羊飼いの友人は、ちゃんと治すから、織物の仕事を取ってきてくれないかと。家は、ツーリスト業は向いてないのよ。と。。。

日本に帰っても、もう一度戻ってきて欲しいと。ここの羊飼いと山岳民族の伝統工芸が、世の中に知られるように。

日本でもそんな生活をしていた時代もあったと思うし、今も、そういう生き方をしている人もいると思う。
IT企業や、トレーダーの人が高収入を稼げるように、こうした特殊技能を存続している人達にも、生活していけるくらいのお金が稼げるような、そんな世の中が来てくれたらいいな。と思う。

ワクワクが止まらない。
マイナス30度。。。
やっぱり私は狂っていると思うこともあるけれど。。。
でも、その先に春が来ることを知っているし。
自分を信じる気持ち。
私は冬を超えられるんじゃないかなー
。という気持ちを大切にしたいと思う。
悲しみも、快楽も超えた、静かで安らかな安堵のある、迷いのない暮らしという道が見えてきた気がするから。

長文。読んでいただいてありがとうございました。
ここでもうひとつ。
FBやblogを読んで、ここへ起こしになりたいという方の問い合わせが、よくあります。
その理由が、自然を感じる生活が、したいとか、星が見たいという理由などもありました。
自然を感じる暮らしを体験出来る、そういう施設はたくさんありますし、星の見える場所も沢山あります。
この村は、外国人には明確にお金を落としてくれる観光客という意識があります。私のような生活を送りたいという方のお問い合わせもあるのですが。
長年見てきて、たった数日、もしくは1.2か月ここに来て、そのように村人の方に接して頂くのは、期待に反してしまいますし、私自身が村の人との仕事でかなり多忙なので、外国人の方にかまっていると、彼らは私達の仕事の邪魔だから、帰ってもらえるかしら。それか、観光業をしている家に行ってもらってくださいと言います。
大変申し訳ないのですが、ここでのこの生活は、何年にも渡り、たくさんの経験を重ねたからこそ存在する、個人的なものですので。
本当に、人生にこのような経験の必要な方には、ここでなくても、世界中で神様。宇宙のご意志が導いて、そのような人生を歩まれると思うのです。それぞれの役割を、それぞれの場所で、全う致しましょう。
なので、私を訪ねてここへ来たいと仰ってくださる方からのお問い合わせには、対応できないことをお許しください。
本当にごめんなさいね。ここで私と同じように暮らすことは、本当に難しいのですよ。
また、メールでの瞑想や哲学的思考、世界情勢に関する論議も、本当に申し訳ないのですが、ご遠慮させてくださいね。
もし、このプロジェクトになにか感じられた方がいらっしゃいましたら、日本帰国の際に、糸紡ぎのクラスで一緒に糸を紡ぎませんか?お話会も頑張りますね。
どうか、ご理解頂けますよう、心からお願い申し上げます。

長文を読んで頂けましたこと、心から感謝致します。
ありがとうございます。

皆様が地球と宇宙の祝福と共にありますように。

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