織物と言うと大層な準備が必要そうだけど
ここでは、大地に木の棒を打ってそこに糸をかけていく原始的な方法が続いている。
材料の糸は、この家族の若者が遊牧している羊の毛を
家族のお年寄りと一緒に掃除をして
山を流れる水で火を焚き、その湯と水で洗い乾かし
原始的な小さな道具で人の手が紡ぎだしたもの
4本の地面に打った木の棒の間を、規則的にかけながら
行き返りを240往復歩きながら糸をかける。
原始的な道具だからこそ、身体を上げたり下げたり傾けたり
全身を使って糸をかけていく。
何時間も、太陽の下、空を、風を、大地を感じながら歩き作業を続ける。
とても疲れてくるけど、ただ単純な作業を全身で続ける。
そのうち、自我が目の前の大きな空の中に飲まれてなくなるような感覚になる。
空とか風とか雲とか、鳥とか、植物や虫との境が分からなくなってくると、自然と大地を讃える気持ちで胸がいっぱいになる。
身体がこの太古から伝わる古代織の動きを記憶し、反復を繰り返すことで、
細胞の中に眠る情報に繋がるような感覚を覚える。
太古の昔の人々の叡智という名の、人類のエネルギーの渦に吞みこまれていくような感覚。
圧倒的な感覚に始めたころは、大きな渦の中に心が潜り溺れそうになっていた。
呼吸と身体に刻まれた反復する動きが、大地と太古から繋がる技の強大なエネルギーの渦と自分の橋渡しをしてくれると気づき始めた。
大自然と一緒に作り出す
小さな命に感謝する
この地球に溶けていく
大地と向き合う、小さな幸せが溢れてくる
大自然の中で、大地から与えられた物を、人の手で紡ぎだす。
人類にとって、長い間、これが普通の暮らしだった
当たり前のことだった。と、私の師匠は言っていた。
私は。。。
この当たり前だった事を、日本でも次の世代に伝えたいと心から思います。
だから、糸紡ぎのクラスをオンラインでお伝えしています。
そして、家族や地域でのこぎりでシンプルな古代織機を自作し、
自分で紡いだ糸で上等な暖かい布が織れてしまう。
という現実を、日本でも見て体験してもらうことの意味を感じ、何年も準備してきました。
古代織機での作業の様子を公開する個展を開こうと思います。
【 場所 】レラウタリ・魔法の森」上野原 にて
【 期間 】
2025年1月
10(金), 11(土), 12(日), 13(月) 一般公開
16(木), 17(金), 18(土), 19(日) 一般公開
(詳細は後日公開します)
ゆっくりコツコツと積み上げる
太古から続く暮らしの営みを
そこに溢れる小さなあふれる幸せを
私は遊牧民とヒマラヤに教えてもらいました
この文化と心を、
絶やしてしまうか、繋いでいけるかも
私たちの毎日の小さな積み重ねだと思うから
今日、私たちは生きていて何を紡いでいくのかは
私達が決めることができるのですから